現代文に文句を言うブログ

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設問「どういうことか」とあるが、どういうことか。③

こんにちは。今年の冬は暖かいですね。

 

今回は、以前の記事(読解って何よ?②(相同表現) - 現代文に文句を言うブログ)で読解した文章を使って、実際に問題を解いてみたいと思います。

  

 解答の作り方とは?

  

僕が使っていたのは筑摩書房の現代文Bの教科書ですが、文章の終わりに「読解」という欄があり、試験問題のようなものがいくつかついています。

 

1、「紙はマテリアルである前に『無意識の平面であった』(八・10)」とはどのようなことか、説明しなさい。  

 これを本文にあわせ、現代文のテスト風にすると、以下のようになります。*1

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前回の記事(設問「どういうことか」とあるが、どういうことか。② - 現代文に文句を言うブログ)を思い出してください。

得点できる解答に必要なのは、読解できたことをアピールすることでした。そして、その為に必要だったのは本文中の重要な部分を見つけてくることでした。

本文を読解したものが以下になります。再掲です。

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本文の繰り返された表現をマークしたものですが、この部分を解答に使えば読解がアピールできたことになります。逆に言うと、「傍線部の説明」だけならどのようにやっても成り立ちますが、本文中の重要な部分を使っていなければ、他の本文中の表現を引用したところで、読解のアピールはできていないことになるのです。

 

この文章の場合、設問1の解答に使える材料は三つあります。

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大事なのは、この文中のどこに傍線が引かれていたとしても、上記の三点は答えの要素になり得るということです。答えになり得る部分というのは、その文章を読解した時点で大体判明するのです。もっと言えば、著者がその文章を作った時点で、それが問題文になった時に解答となる箇所はすでに決まっているのであり、そこを答えさせるように傍線が引かれるのです。

 

解答の組み立て方とは?

 

では、これらの材料をどのように組み立てるのでしょうか。

 

解答を作る際に注意すべきことは大きく二つあります。

  1. 問題の指示(どういうことか or なぜか)
  2. 材料同士の接続 
  3. 解答欄の大きさ(字数制限)

 

まず1の問題の指示について。

現代文の問題は、大きく分けて「どういうことか」と「なぜか」に分かれます。

 

よく「『どういうことか』の解答は傍線部の言い換えになるように、『なぜか』の解答は傍線部の根拠または原因を示すように」などと言いますが、僕は特に違いを考える必要はないと思っています。要は読解できていることをアピールできればいいわけで、問題の指示がどちらであっても、解答に書くべきことはだいたい変わらないからです(例外もあります)。傍線部は、読解できているかどうかがその解答で評価できるような箇所に引かれるのです。

 

ですから、語尾にだけ気を付けて、「どういうことか」の場合は「~ということ。」、「なぜか」の場合は「~から。」とつければいいと思います。「なぜか」の問題の方が字数制限的にありがたいということですね。

 

続いて2の接続です。

「材料同士をどんな言葉でつなげるか」です。

 

 これは、本文内の関係に矛盾しないように繋げなければなりません*2

 

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材料を繋げる際、接続する言葉のニュアンスに気を付けてください。上記の(ウ)「である以前に」のみ、材料②の緑線「(紙はマテリアル)であるが、その性質は考慮されていない」のニュアンスが出せています。

 

この接続する言葉選びは難しいと思います。はっきり本文中に「~ではなく」「~と同時に」「~もまた」 等の言葉があれば楽なのですが、それがなければ自分で一番端的かつ正確な言葉を選ばなければなりません。

 

では、ひとまず3の解答欄の大きさ(字数制限)は考慮せず、先に解答を作ってみましょう。

 

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この場合、解答素材を本文に矛盾しないように組み立てたものが、そのまま答えになりました。 

問題の指示は「傍線部の説明」なのですが、解答づくりはあくまで読解して得た解答の材料と、その組み立てが先です。材料を、解答欄の大きさに合わせて、本文に合うように再構築するのです。

そして、その解答を見て、「傍線部の説明になっているな」と何となく思えればそれでいいと思います。読解できたことをアピールするように傍線部を説明するのです。

「どういうことか」の問題の場合、傍線部と解答の内容が同じになっていることが多いです。が、あくまで読解のアピールが大事なので、全くイコールかどうかは深く考えなくていいと思います。特に、傍線部より解答の方が内容が多くなっていることが結構あります。

 

最後に3の解答欄の大きさです。

ひとつひとつの材料をどこまで詳しく書くかは、解答欄の大きさ、つまり字数制限で決まります。上の解答は、適当に作ったら60字くらいになりましたが、解答欄の大きさによっては材料やそれらの接続を圧縮する必要があります。

 

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字数が同じなら、ひとつひとつの材料を短くまとめ、できるだけたくさんの材料を入れられるといいでしょう。見た目は違ってもどれも同じ一つの材料(要素)であるとわかれば、端的な表現ですっきりとした解答が作れます。

逆に、集めた解答の材料の割に解答欄が大きい場合、他の材料を見落としている可能性があります。他の繰り返し表現や、繰り返し表現以外で他とは異質な表現(上の紫線のような)を探してみましょう。

 

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今回は以上になります。こんなに小難しい記事を読んでくださった皆さん、本当にお疲れさまでした。

 

受験生の皆さんへ

 

受験生の皆さん、そろそろ本番ですね。僕の受験歴はこの記事(受験生の試行錯誤。 - 現代文に文句を言うブログ)で詳しく書きましたが、僕は浪人の前期でも第一志望に受かることができませんでした。

 

そんな僕が皆さんに言えることがあります。

 

どんなに緻密に努力しても、落ちるときは落ちます。

 

受験勉強に100%はないのです。絶対に受かるなどということは絶対に望めません。落ちるときは落ちます。最後は運だよりなのです。

 

だから、

 

入試本番は、自分が第一志望校にご縁をいただけるかどうか、確かめに行くような気持ちで試験に向かえばいいのではないでしょうか。

 

あなたはここまでよく頑張りました。こんなブログを見に来るまで真剣に自分の苦手と向き合いました。あとはもう、当日の空気に任せてしまえばいいと思います。

 

皆さんの幸運を心よりお祈りしています。

 

 

 

 

*1:ここでは本文の第二段落のみを解答範囲とする。ここのみが解答範囲である理由は、一般的な解答範囲の決め方を含め、次回以降に説明する。

*2:このことを、東進の林修先生は「本文の論理関係を保存する」とおっしゃっていた。