現代文に文句を言うブログ

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読解って何よ?③(指示語・接続語・構文)

こんにちは。国立大学の前期試験がもうすぐですね。受験生の皆さん、あともう少しで解放されます。少し早いですが、本当にお疲れさまでした。もう一息です。

 

今回は、読解シリーズを再開します。本文の続きを読んでいきましょう。

 

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以前の記事で説明した通り、段落ごとに読解していきます。では、第三段落を拡大します。

 

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指示語について

 

第三段落で注目したいのは、指示語です。

指示語とは、

①事物を指し示す機能を持つ語。いわゆる「こそあど」と称する。「これ・それ・あれ・どれ」「こう・そう・ああ・どう」の類。

②代名詞。

広辞苑

いわゆる「こそあど言葉」のことです。

 

第三段落の中に指示語が二つ入っているのがお判りでしょうか。

 

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この指示語、見つけたら必ず注意してください(僕が受験生の時は、四角で囲んでいました)。

 

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今回の第三段落の場合、指示語が示す内容は何で、どれくらい重要なのでしょうか。

 

 

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以上のようになります。最初の指示語は指示する内容自体は範囲が広い上に曖昧で、さらに、その後の「新しい話題」(ここでは「筆者の主張」)のほうが重要になってきそうなのが読んでいくとわかるのですが、実は教科書がこの指示語を設問に指定しているため、解答を作らなければなりません。これは次回以降に説明します。

 

気づいていただきたいのは、この指示語によって、指示語の後に一歩進んだ別の話題が出てきていることです。指示語の前後で文章の内容が分類されます

 

そして、文章全体の全体の読解において大事なのはむしろ後の方の指示語です。なぜかというと、その指示語が特定の構文の中に入っているからです。この部分は、文章全体の主張と言ってもいいくらい、大事な部分であると予測できます(あくまで予測です。まだ三段落しか読んでいないので)。

 

構文について

 

先ほど特定の構文と言いました。これは、その構文が用いられたときに、それが筆者の主張の表れになっているもので、文章中の重要な部分をみつけるのに大いに役に立ちます。

 

これは第四段落にもあります。合わせて見てみましょう。

 

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筆者が自分の主張を表すとき、無意識のうちにこのような構文を使います。自然と現れた構文に注目すれば、筆者の主張を楽に見つけられるようになります*1。これらの定型的な表現は、文中に出てくるごとに説明していきます。

 

それでは、第四段落を、二つの観点から読解してみたいと思います。

 

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今さらっと段落の「構造」という言葉を使いました。「構造」とは、「文章内の内容同士の関係」のことです*2

 

相同表現に着目しただけでは、「デジタルデータ」と「書籍」どちらを筆者が重視しているかまではわかりません。しかし、接続語や構文を見れば、そのどちらに重きを置いているか(≒筆者の主張)がわかります。

 

今回の場合、

「書籍」>「デジタルデータ」

ということです。

 

この段落は特に、構文で段落内がきれいに区切られます。実際にはこんな段落ばかりではないので、あくまで文章の内容(相同表現・具体と抽象*3)を分析することを忘れないでください。

 

第四段落をマーキングするとしたら以下のようになります。これは僕の一例であり、マーキングはあくまで個人の自由に行ってください。自分で納得できればそれでかまいません。

 

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以下は、現代文でよく出てくる「対比」についての考察です。

 

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今回はこれで以上になります。お疲れさまでした。二次試験の健闘をお祈りしております。

 

 

 

 

 

 

*1:この文章表現に注目し、特定の表現をまとめたのが、関西駿台現代文科の中野芳樹先生である。彼が考え出した「客観的読解法」は、文章表現に注目して本文にマーキングし、そこから解答を作り出すというものだ。駿台の現代文科は他の科目と比べても関東と関西で方針が対立しているが、関西現代文科の講師は大方中野先生と同じ方法を用いている。ちなみに僕のおすすめは河田喜博先生で、先生のおかげで現代文に太刀打ちできるようになった。浪人期の恩人である。

*2:そのほか、大雑把な「文章(段落)のつくり」として用いることもある。「構造」などと難しい言葉を使っているが、深い意味はないのでご了承いただきたい。

*3:次回説明する。